Perioperative pembrolizumab in early-stage non–small-cell lung cancer (NSCLC): 5-year follow-up from KEYNOTE-671
(Stanford University School of Medicine)
切除可能な早期非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした第Ⅲ相KEYNOTE-671試験の5年解析から、ペムブロリズマブの周術期免疫療法(術前化学免疫療法+術後免疫療法)は、無イベント生存期間(EFS)および全生存期間(OS)の延長を維持し、安全性は管理可能であることが報告された。この長期追跡結果は、本治療方法を標準治療の一つとして支持するものとされた。
本試験には切除可能なⅡ~Ⅲ期のNSCLC患者797例が登録され、ペムブロリズマブ群に397例、プラセボ群に400例が無作為に割り付けられた。ペムブロリズマブ群は、化学療法+ペムブロリズマブ併用の術前補助療法後に外科切除を行い、その後、ペムブロリズマブ単独による術後補助療法を施行し、プラセボ群には化学療法+プラセボの術前補助療法およびプラセボ単独の術後補助療法を施行した。
年齢中央値はペムブロリズマブ群63.0歳、プラセボ群64.0歳、両群とも男性が約7割を占めた。人種はアジア人が各群31.2% 対 31.3%、白人が63.0% 対 59.8%、現・元喫煙者が86.4% 対88.3%であった。病期はⅢ期がペムブロリズマブ群70.3%、プラセボ群69.8%、組織型は非扁平上皮がんが各群56.9% 対 56.8%、PD-L1発現率(TPS)は、50%以上が33.2% 対 33.5%、1~49%が32.0% 対 28.8%、1%未満が34.8% 対 37.8%であった。
主要評価項目はEFSおよびOSの2項目であった。第1回中間解析(追跡期間中央値25.2カ月)においてEFSはハザード比(HR)が0.58(95% CI: 0.46 – 0.72、p<0.00001)1と、ペムブロリズマブ群での有意な延長が示され、続く第2回中間解析(同36.6カ月)ではOSも有意に延長した(HR 0.72、95% CI: 0.56 – 0.93、p=0.00517)2。
今回の追跡期間中央値60.4カ月(データカットオフ日:2025年7月3日)に基づく解析では、OSのHRは0.74(95% CI: 0.59 – 0.92)で、中間解析と整合する結果が得られた。OS中央値はペムブロリズマブ群が未到達、プラセボ群が70.7カ月、5年OS率は各々64.6%、53.6%であった。サブグループ解析では概ねペムブロリズマブ群が優位な傾向を示した。
EFSもHR 0.58(95% CI: 0.48 – 0.69)と過去の解析結果と一貫していた。EFS中央値はペムブロリズマブ群57.1カ月、プラセボ群18.4カ月、5年EFS率は各群49.9% 対 26.5%であった。ステージ、組織型、PD-L1発現率などを問わず、全てのサブグループにおいてペムブロリズマブ群が有意に良好であった。
患者報告アウトカム(EORTC QLQ-C30の全体的健康状態/QoLスコア)では、両群とも手術期に一時的なスコア低下が見られたが、その後回復し、ペムブロリズマブ投与による健康関連QOLの低下は認められなかった。
治療関連有害事象の発現率は、全グレードでペムブロリズマブ群96.7%、プラセボ群95.5%、グレード3~5が各群45.2% 対 37.8%、重篤例が18.4% 対 14.8%、死亡に至ったのが1.0% 対 0.8%、投与中止に至ったのが13.9% 対 5.3%であった。免疫関連有害事象およびinfusion reactionsの発現率は全グレードで各群26.0% 対 9.3%、グレード3~5が6.3% 対 1.8%、重篤例が6.1% 対 1.8%、死亡に至ったのが0.3% 対 0%、投与中止に至ったのが5.6% 対 0.8%であった。追跡期間を通して、新たな毒性は確認されなかった。
1. Wakelee H, et al. N Engl J Med. 2023; 389: 491–503.
2. Spicer JD, et al. Lancet. 2024; 404: 1240–1252.
監修 秦 明登先生のコメント
周術期(Peri-operative:術前化学免疫療法+術後免疫療法)免疫療法の5年追跡データである。5年EFS率は49.9% 対 26.5%であり、わかりやすく言い換えると、5年の再発率は約3/4 vs. 約半数(総数100人と仮定すると約75人再発 vs. 約50人再発)ということができる。これは、手術を実際に受ける患者にとってはかなりインパクトのある数字だろう。OSのHRは0.74であり、術前化学免疫療法のみのデータあるCM816試験もHRは0.72で、ほぼ同等の結果であった。今後行われるであろう、術前化学免疫療法+術後免疫療法(Peri-operative)vs. 術前化学免疫療法のみ(Neoadjuvant)の比較試験の結果が待たれる。