Cemiplimab plus chemotherapy versus chemotherapy in advanced NSCLC: 5-year results from phase 3 EMPOWER-Lung 3 Part 2 trial
(Todua Medical Center)
進行非小細胞肺がん(NSCLC)の一次治療における抗PD-1抗体セミプリマブと化学療法の併用を評価した第Ⅲ相試験「EMPOWER-Lung 3試験 Part 2」の5年追跡結果が報告された。セミプリマブの併用療法は化学療法単独に比べて全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)のいずれも有意に優れた効果を維持し、扁平・非扁平上皮がんの双方で長期的なベネフィットを示した。安全性についても新たな懸念はなく、既知のプロファイルと一致していた。
本試験の対象は、切除不能または根治的化学放射線療法の適応がない進行・再発NSCLC患者(ステージⅢB/CまたはⅣ期、扁平・非扁平上皮がんを問わず)で、EGFR変異やALK、ROS1融合遺伝子を有する患者は除外された。ECOG PSは0または1で、全てのPD-L1発現を対象とし、既治療の安定した中枢神経系転移も許容された。層別化因子はPD-L1発現率(1%未満、1~49%、50%以上)および組織型(扁平上皮がん、非扁平上皮がん)であった。
466例が登録され、セミプリマブ+化学療法群312例(セミプリマブ350mg 3週毎[Q3W]+治験医師判断によるプラチナ製剤2剤併用化学療法Q3W x 4サイクル)、化学療法単独群154例(プラセボQ3W+同化学療法Q3W x 4サイクル)に無作為化され、最大108週または病勢進行まで治療が継続された。主要評価項目はOS、副次評価項目はPFS、ORR、奏効期間(DOR)、安全性であった。これまでの解析で、セミプリマブ+化学療法併用群は、化学療法単独群に対する有意なOSとPFSの延長が確認されている1,2が、今回の発表は2025年2月27日をカットオフ日とする追跡期間中央値60.9カ月(範囲:53.0~68.4カ月)での5年フォローアップ解析データである。
OS中央値は併用群21.1カ月、化学療法単独群12.9カ月で有意差を示し、5年OS率は19.4% 対 8.8%であった。PFS中央値は併用群8.2カ月 対 単独群5.5カ月で併用群が有意に延長し、ORRは43.6% 対 22.1%、DOR中央値は16.4カ月 対 7.3カ月であった。組織型別解析では、OS中央値が扁平上皮がんで22.3カ月 対 13.8カ月、非扁平上皮がんでは19.4カ月 対 12.4カ月と、いずれも併用群で優れていた。
また、PD-L1発現1%以上の集団(327例)では、OS中央値は24.0カ月 対 12.1カ月、PFS中央値は8.3カ月 対 5.5カ月、ORRは48.4% 対 22.7%、DOR中央値は18.2カ月 対 6.5カ月と一貫して併用群に効果が認められた。さらに、併用群で2年間の治療を完遂した66例の5年OS割合は56.0%であった。
治療中に発現した有害事象(TEAE)は、全グレードが併用群96.5% 対 単独群94.8%、グレード3以上は49.4% 対 32.7%であった。中止に至ったTEAEは6.4% 対 3.9%、死亡に至ったTEAEは9.0% 対 9.2%であり、新たな毒性プロファイルは認められなかった。併用群の主なグレード3以上のTEAEは、貧血(11%)、好中球減少(6%)、肝酵素上昇、疲労、呼吸困難などであった。
1. Gogishvili M, et al. Nat Med. 2022; 28: 2374–2380.
2. Makharadze T, et al. J Thorac Oncol. 2023; 18: 755–768.
監修 善家 義貴先生のコメント
EMPOWER-Lung 3試験 Part 2の5年フォローアップの結果、セミプリマブ+化学療法も標準治療の一つであることが示され、本邦でも2025年9月に承認された。特に扁平上皮がん、PD-L1>1%以上の患者で良好な結果が示されており、実臨床における治療選択時の参考としたい。