Ifinatamab deruxtecan (I-DXd) in extensive-stage small cell lung cancer: Primary analysis of the phase 2 IDeate-Lung01 study
(Samsung Medical Center)
*国内未承認
前治療歴のある進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者において、抗B7-H3抗体薬物複合体(ADC)であるifinatamab deruxtecan(I-DXd)が高い抗腫瘍効果と忍容性を示すことが、国際共同第Ⅱ相IDeate-Lung01試験の結果から明らかになった。用量12mg/kg群で確認された奏効率(ORR)は48.2%で、脳転移の有無や治療ライン数にかかわらず一貫したベネフィットがあった。
本試験は、用量最適化を検証するパートと、長期投与の有効性を確認するパートの二部構成で実施された。用量最適化パートでは、既治療ES-SCLC患者を対象に、I-DXd 8mg/kg群(46例)またはI-DXd 12mg/kg群(42例)に無作為に割り付け、3週毎に投与された。その後、長期投与パートでは、中間解析で推奨用量とされた12mg/kgを95例に投与した。本報告は、いずれかのパートで12mg/kgを投与された、計137例の解析結果である。
主な登録基準は、①組織学的または細胞学的にES-SCLCと診断、②18歳以上、③プラチナ系製剤を含む化学療法を1ライン以上施行し、全身療法の治療歴が3ライン以下、④直近の全身療法中または療法後に画像診断で病勢進行(PD)が確認されている、⑤ECOG PS 0~1、⑥RECIST 1.1による判定で測定可能病変が1カ所以上、⑦無症候性脳転移の患者(未治療または既治療)を含む、などであった。
投与サイクル中央値は7.0サイクル、治療期間中央値は4.8カ月、観察期間中央値は12.8カ月であった。データカットオフ時点において、12mg/kgを投与された計137例のうち89.8%(123例)が治療を中止していた。主な中止理由は、PDまたは臨床的進行(95例)、治療中に発現した有害事象(15例)、死亡(10例)であった。
ベースラインの患者背景は、年齢中央値が63歳、男性65.7%、アジア人48.9%、ECOG PS 1が77.4%、脳転移38.0%、肝転移40.1%であった。全身療法の前治療歴は1ラインが23.4%、2ラインが54.7%、3ラインが21.9%、抗PD-(L)1療法は81.0%が受けていた。
主要評価項目のORRは48.2%[うち完全奏効2.2%(3例)]で、治療ライン数、脳転移の有無、前治療の種類にかかわらず、有効性が認められた。副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)中央値は4.9カ月、全生存期間(OS)中央値は10.3カ月、奏効期間(DOR)中央値は5.3カ月、病勢コントロール率(DCR)は87.6%であった。化学療法非施行期間(CTFI)が30日以下(18例)のORRは11.1%、30日超~90日未満(40例)では50.0%、90日以上(72例)は55.6%であった。また、探索的解析項目の脳転移集団(65例)における頭蓋内ORRは46.2%であった。
治療関連有害事象(TRAE)の発現率は、全グレード89.8%、グレード3以上36.5%、投与中止に至ったTRAE 9.5%(13例)、治療関連死4.4%(6例)であった。主なTRAEは血液毒性や消化器系毒性で、悪心(全グレード: 43.1%、グレード3以上: 2.2%)、好中球減少症(全グレード: 34.3%、グレード3以上: 13.9%)、貧血(全グレード 34.3%、グレード3以上: 10.2%)などであった。治療関連の間質性肺疾患/肺臓炎は12.4%(17例)に発現し、このうちグレード3が2.9%(4例)、グレード5が1.5%(2例)に認められた。
監修 善家 義貴先生のコメント
本試験により、既治療ED-SCLCに対するI-Dxdは良好な治療効果が確認された。現在、二次治療における化学療法と比較する第Ⅲ相試験が進行中である。ただし、肺臓炎の頻度は比較的高く、治療の際には十分な注意を要する。