First-line osimertinib + chemotherapy versus osimertinib monotherapy in EGFRm advanced NSCLC: FLAURA2 final overall survival
(Institute Gustave Roussy)
EGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)の一次治療において、オシメルチニブ+化学療法の併用療法はオシメルチニブ単独療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に延長することが、第Ⅲ相試験(FLAURA2試験)のOS最終解析で示された。オシメルチニブ、化学療法併用療法は、EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCの一次治療における標準治療の一つとして確立された。
本試験の対象は、病理組織学的に非扁平上皮がんが確認され、EGFR遺伝子変異陽性(exon19欠失/L858R)の未治療の局所進行・転移性NSCLC患者であった。安定した中枢神経系(CNS)転移は登録可能で、ベースライン時に脳MRIまたはCT撮影が必須とされた。
合計557例が登録され、オシメルチニブ+化学療法の併用群279例またはオシメルチニブの単独群278例に、無作為に割り付けられた。併用群にはオシメルチニブ80mg (1日1回;QD)に、ペメトレキセド、カルボプラチンまたはシスプラチンが4サイクル併用され、その後は維持療法としてオシメルチニブ80mg QD+ペメトレキセドが継続された。単独群にはオシメルチニブ80mg QDが投与された。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、主な副次評価項目はOSなどであった。
ベースラインの患者背景は、両群で均衡していた。年齢中央値は併用群61歳 対 単独群62歳、男性は38% 対 39%、中国人は両群25%、中国人以外のアジア人は39% 対 38%、非喫煙者は67% 対 65%であった。EGFR遺伝子変異はexon19欠失が61% 対 60%、L858Rが両群38%、CNS転移ありは42% 対 40%であった。主解析ではすでに、併用群におけるPFSの有意な延長が報告されている[ハザード比(HR) 0.62、p<0.001]1。
本解析のデータカットオフ時点(2025年6月12日)において、併用群の76例(28%)がオシメルチニブを、12例(4%)がペメトレキセドを継続していた。単独群では49例(18%)がオシメルチニブを継続していた。オシメルチニブの主な中止理由は両群とも病勢進行で(併用群46%、単独群67%)、併用群におけるペメトレキセドの中止理由は有害事象(AE)が50%ともっとも多かった。
OS中央値は、併用群47.5カ月 対 単独群37.6カ月(HR 0.77、p=0.02)で、併用群が有意に延長していた。3年OS割合は63% 対 51%、4年OS割合は49% 対 41%であった。併用群のOS延長効果は、サブグループ解析でも一貫して確認された。
併用群の治療期間中央値はオシメルチニブが30.5カ月、ペメトレキセドが8.3カ月、プラチナ系製剤を含む化学療法が2.8カ月で、単独群のオシメルチニブは 21.2カ月であった。
後治療を受けた割合は併用群69% 対 単独群77%で、後治療の種類は両群ともプラチナ系製剤を含む化学療法が最多で、44% 対 72%であった。
安全性解析では、主解析から追加2年以上を追跡しても新たな毒性プロファイルは認められなかった。グレード3以上のAEは併用群70% 対 単独群34%、オシメルチニブ投与中止に至ったAEは12% 対 7%であった。グレード3以上の主なAEは血液毒性で、貧血(20% 対 1%)、好中球減少症(グレード3:11% 対 1%、グレード4: 3% 対 0%)、好中球数減少(グレード3:9% 対 1%、グレード4: 3% 対 0%)などが含まれた。併用群における治療関連の死亡は認められなかった。
1. Planchard D, et al. N Engl J Med. 2023; 389: 1935–1948.
監修 善家 義貴先生のコメント
FLAURA2試験の結果、EGFR遺伝子変異陽性肺がんの初回治療としてオシメルチニブ+化学療法も標準治療となったが、アミバンタマブ+ラゼルチニブもオシメルチニブと比較しOSを延長しており、現在JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)で直接比較試験が準備中である。