Ivonescimab vs placebo plus chemo, phase 3 in patients with EGFR+ NSCLC progressed with 3rd generation EGFR-TKI treatment: HARMONi
(UCLA Health)
*国内未承認
進行EGFR遺伝子変異陽性肺がん患者において、第3世代EGFR-TKI治療後に進行した非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした第Ⅲ相HARMONi試験の結果、抗PD-1/VEGF二重特異性抗体ivonescimabと化学療法の併用は、化学療法単独と比べて無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが明らかになった。全生存期間(OS)でも延長傾向を示し、奏効率(ORR)や奏効期間(DOR)も改善していた。安全性において、新たな毒性プロファイルは確認されなかった。
本試験の対象は、第3世代EGFR-TKI治療後に進行したEGFR遺伝子変異陽性の局所進行・転移性NSCLC患者で、ECOG PSは0または1、PD-L1発現レベルは問わなかった。438例が登録され、1:1の割合でivonescimab+化学療法群(ivonescimab併用群、219例)またはプラセボ+化学療法群(プラセボ群、219例)に、無作為に割り付けられた。ivonescimabは20 mg/kgを3週毎に投与し、化学療法はカルボプラチンとペメトレキセドを併用した。層別因子は脳転移の有無であった。主要評価項目はPFSとOS、副次評価項目はORR、DOR、安全性などであった。すでにアジアで先行したHARMONi-A試験でPFSの有効性が示されており1、今回の報告は北米・欧州の解析を含むOSの最終解析である。
患者背景は2群で均衡しており、年齢中央値はivonescimab併用群62歳 対 プラセボ群60歳、女性が59.4% 対 58.0%、非喫煙者65.3% 対 70.8%、脳転移は両群24.7%であった。
主要解析のPFS中央値(観察期間中央値22.3カ月)は、ivonescimab併用群6.8カ月 対 プラセボ群4.4カ月(HR 0.52、p<0.0001)で、ivonescimab併用群が有意に延長していた。6カ月PFS割合は54.0% 対 34.7%、12カ月PFS割合は25.4% 対 8.3%であった。PFSのサブグループ解析では、ivonescimab併用群に一貫したベネフィットが確認され、特に脳転移症例で有意な延長がみられた(HR 0.34)。
主要解析のOS中央値は、ivonescimab併用群16.8カ月 対 プラセボ群14.0カ月(HR 0.79、p=0.0570)であった。ORRは45% 対 34%、病勢制御率は84% 対 73%、DOR中央値は7.6カ月 対 4.2カ月であった。
治療関連有害事象(TRAE)は、全グレードはivonescimab併用群95.0% 対 プラセボ群93.1%、グレード3以上は50.0% 対 42.2%であった。治療中止に至った症例は7.3% 対 5.0%、死亡に至った症例は1.8% 対 2.3%であった。免疫関連有害事象(irAE)として、間質性肺疾患/肺臓炎の発現率は2.8% 対 1.8%であり、グレード3以上は両群1.4%であった。ivonescimab併用群の主なirAEには、甲状腺機能低下症(8.3%)、甲状腺機能亢進症(4.1%)、肝酵素上昇(ALT 2.8%、AST 3.2%)、発疹(2.8%)が、VEGF関連有害事象には蛋白尿(13.8%)、高血圧(13.3%)、出血(10.6%)が報告された。新たな毒性プロファイルは認められず、忍容性は概ね良好であった。
1. Fang W, et al. JAMA. 2024; 332: 561-570.
監修 善家 義貴先生のコメント
前相試験のHARMONi-A試験が有望な結果であり、グローバル承認を目指した第Ⅲ相試験であった。主要評価項目の一つであるPFSは良好な成績が再現されたが、OSは良い傾向にあったものの統計学的な差は認められなかった。フォローアップ期間を延ばした西洋人の解析では良好なOSの結果であったが、OS延長が承認要件としてどの程度求められるかが注目される。