ECOG-ACRIN EA5181: Phase 3 trial of concurrent and consolidative durvalumab vs consolidation durvalumab alone for unresectable stage III NSCLC
(Marshall University)
切除不能ステージⅢ非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療は、化学放射線療法後にデュルバルマブの1年間投与である。さらなる治療成績の向上を目的に、化学放射線療法と同時にデュルバルマブを併用投与し、その後デュルバルマブを1年間投与するレジメンを検討した第Ⅲ相EA5181試験の結果が公表された。その結果、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)ともに有意な延長を示さないことが明らかになった。
本試験の対象は、切除不能のステージⅢA~ⅢCでECOG PSが0~1のNSCLC患者であった。化学放射線療法中にデュルバルマブ(750 mgを2週毎 x 3サイクル)を併用投与する〈ステップ1〉の後、〈ステップ2〉として1年間デュルバルマブ(1,500 mgを4週毎)を維持投与する併用群と、従来どおり〈ステップ1〉で化学放射線療法のみを行った後、〈ステップ2〉として1年間デュルバルマブを維持投与する対照群に1:1に無作為化された。層別因子は、化学療法レジメン、年齢、性別、病期であった。両群とも〈ステップ1〉で病勢進行がなく、毒性がグレード2以下(ただしステップ1終了後45日以内に回復)であれば、ステップ 1の治療完了後14日以内に〈ステップ2〉のデュルバルマブの維持療法へと進んだ。
主要評価項目はITT集団におけるOS、副次評価項目にはPFS、毒性、奏効率(ORR)、および再発パターンが設定された。
662例が登録され、併用群に335例、対照群に327例が割り付けられた。患者背景は、年齢中央値67.1歳、男性60.6%、白人88.4%、黒人8.3%であった。病期はⅢA 50.6%、ⅢB 41.5%、ⅢC 7.3%、組織型は腺がん48.7%、扁平上皮がん38.3%、喫煙歴は現喫煙者39.9%、元喫煙者53.3%、非喫煙者6.8%、化学療法レジメンはカルボプラチン+パクリタキセルが82.5%を占めた。
観察期間中央値は29.9カ月で、併用群の88.6%(297例)、対照群の87.4%(286例)が〈ステップ1〉を完遂した。治療中止の主な理由は、有害事象がもっとも多く、併用群12例 対 対照群7例、続いて死亡が6例 対 3例、病勢進行が3例 対 5例であった。
OS中央値は併用群が41.5カ月、対照群で39.4カ月、ハザード比(HR)は1.03で2群間に差はなかった(p=0.83)。PFSも同様に2群間に差はなく、PFS中央値は併用群15.5カ月、対照群16.8カ月(HR 1.05、p=0.65)であった。
ORRは、〈ステップ1〉までが併用群51.3% 対 対照群47.1%(p=0.28)、〈ステップ2〉を含めると71.5% 対 67.1%(p=0.31)で群間差は認められなかった。再発率も、局所再発が24.2% 対 22%(p=0.52)、照射野内再発率が6.6% 対 7.6%(p=0.65)で両群に差はなかった。
安全性については、肺毒性および心毒性を含め治療関連有害事象(TRAE)の発現率に有意差はなかった。治療全体を通じたグレード3~4のTRAEは併用群67.7% 対 対照群62.2%、グレード5が3.6% 対 3.5%、治療中止に至ったTRAEが19.0% 対 16.5%であった。食道炎はグレード2が21.5% 対 26.7%、グレード3~5が4.8% 対 1.6%、肺臓炎はグレード2が12.1% 対 11.4%、グレード3~5が6.6% 対 4.8%であった。
監修 善家 義貴先生のコメント
過去に同デザインで実施されたPACIFIC2試験同様、化学放射線同時併用デュルバルマブ療法は有用性を示すことができなかった。2つの試験で化学放射線同時併用デュルバルマブ療法が有効でないことが再現されており、標準治療は依然として「化学放射線療法後にデュルバルマブの1年間の投与」である。本試験が、アカデミア臨床試験グループで650例規模の第Ⅲ相試験として実施されたことは評価したい。